朝ドラ『スカーレット』の大島優子が話題。渡辺麻友に川栄李奈…“元AKB”は朝ドラで光る
日刊SPA!さんから
NHK連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合/月曜~土曜8時ほか)で、主演の戸田恵梨香演じる川原喜美子の幼馴染・照子役として出演している大島優子に注目が集まっている。
子供時代から勝ち気でプライドが高く生意気な照子。子役から雰囲気や表情などがそのまま憑依したような芝居を自然に演ずる彼女の姿に驚いた人も多いはずだ。
渡辺麻友、島崎遥香、川栄李奈…朝ドラで光る卒業生
大島優子は言わずと知れた国民的アイドルグループAKB48の元メンバー。いまだにそのイメージが強い人も多いだろう。彼女をはじめ、NHK朝の連続テレビ小説では、近作、元AKB48メンバーが注目を集めている。
記憶に新しい所と言えば、前作『なつぞら』でヒロインの同僚・茜役を演じたまゆゆこと渡辺麻友。茜はヒロインより一足早くアニメーターになったものの、出産と育児の壁に阻まれ退職、それでもヒロインの夢を実現するために手を差し伸べ続けた物語のキーパーソンだった。
そこで演じられた温かみのある抑えた演技は、優しい母親という役柄の中にも志半ばで諦めざるを得なかった夢への静かな情熱を感じさせていた。ひたすらヒロインの引き立て役に徹し、かつてAKBのセンターにいた姿が信じられないくらいで、物語終盤には、ヒロインよりも彼女の演じた茜に肩入れする視聴者も多かったというのも頷ける。
もっと遡ると、『ひよっこ』に出演したぱるること島崎遥香。彼女はヒロインが働く洋食店のわがままな一人娘・由香の役を演じた。彼女が持つ小悪魔的な存在感から発せられる演技は、「当たり役」だと評判が高く、視聴者の多くが、彼女の役柄に本気でイラつかされ、泣かされたのだ。
また、今やさまざまなCMやドラマで卒業生イチ活躍をしている川栄李奈も、世間的に注目を集めたのが『とと姉ちゃん』での仕出し屋の娘・富江役である。一見クールではありながらも、繊細さや優しさなど心の機敏を白々しさなく演じた彼女は目の肥えた朝ドラファンたちの心をすぐに掴んだ。
元・AKB=演技が下手という偏見
彼女たちの名前をインターネットで検索すると、そのあとに必ずと言っていいほど出てくるのが「下手」という二文字である。しかし、実際に朝ドラなどで見てみると、むしろ上手であり、ぐっと心を掴まれることも多い。SNSでも評判は上々だ。
中には朝ドラにでたことで「上手くなった」「確変している」などという表記もあるが、果たしてそうなのだろうか?
そもそも大島優子はAKB加入前に子役としていくつもの映画やドラマで活躍しており、加入後もPVや『マジすか学園』などのドラマでも抜群の演技力をみせていた。川栄李奈も朝ドラ出演前から、汎用性の高いキャラクターやなんでもこなせる演技力は業界内で評判が高く、多くのオファーがあったという。
アイドルというイメージや、ファン同士の争いゆえのアンチ活動でマイナスイメージが広がっていき、彼女たちの演技に対しネガティブな思い込みが根付いているのではないだろうか。
朝ドラは“元AKB”の冠を卒業する通過点かも
一斉風靡した国民的スーパーアイドル・AKB48の元メンバーであることで、たとえ実力で勝ち取ってドラマに出ても「事務所の力」「大人の事情でキャスティングされている」と言われてしまう。つまり、元AKBという看板があることで、演技を素直に評価されないという壁があるのだ。
しかし、朝の連続テレビ小説は視聴者層が高く、彼女たちのアイドル時代をよく知らない人もいる。また、毎日放映されているため、視聴者はストーリーや登場人物のキャラクターに入りこみ、役者の演技にじっくり向き合うことができる。それゆえ、朝ドラにでた元AKBメンバーは初めて実力を評価されるのだろう。むしろ、元々のハードルが低い故に過大に評価されることもあるかもしれないが。
AKBグループは、在籍中に他のドラマや映画のオーディションを受けることを制限されているのだという。しかし、卒業したら元AKBというレッテルが貼られ、演技の評価を素直に受け辛くなってしまう。そのため、女優の世界で苦戦している卒業メンバーも多い。
しかし、その壁を打破したことで、川栄李奈のようにAKBだったことさえも忘れられるほどの活躍をするようになった人もいる。つまり、NHK朝の連続テレビ小説は彼女たちが今後、女優として活躍するためにくぐるべき最初の関門なのかもしれない。これからも彼女たちの活躍に期待したい。
<文/小政りょう>
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